長く年を重ねるにつれ、物が増えていくのが、人間の常。長い年月を使い込むことにより愛着と思い出が出てきます。
ご両親から譲られた着物や貴金属、古美術品など、価値のある物を手にする場合が出てくると思います。それ商品は、時代を超え、当時流行したデザインが大半です。
現代では、着られない・持ち歩けない・捨てるには忍びない。など処分に困り、箪笥の奥で眠っていることが多いでしょう。
そんな折に、ハンドメイドの世界では、リメイクという手法が定着し、一つのムーブメントを形成しております。
巷では、リメイクされた様々な商品を目にすることが多くなり、【リメイク】と言う言葉は、市民権を得たのではないかと思います。
そんなリメイク商品ではございますが、大きな落とし穴がある事をご存じでしたでしょうか?
知らなかったでは済まされない。あなたも知らず知らずのウチに冒してしまっているリメイク商品の販売について、お話させて頂きたいと思います。
リメイク商品を販売する際って、警察に届け出が必要って知っていましたか?
72年前、昭和24年に古物営業法という法律が施行されました。
これは、昭和20年に終戦を迎え、戦後物資がない中、各地で闇市が開かれました。その中には、盗品も多く販売され、犯罪被害品が社会に流通してしまうと、犯罪を助長させてしまう恐れがある事を機に、法律が制定されました。
商品の出所を理解し、盗品ではないキチンとした流通に沿う商品であることを認識できる様に届け出をすることとなりました。
例として、リメイク商品を制作する上で、帯地を使うとします。その帯地を骨董市で購入し、オリジナルの帯地バッグを制作し、ネットショップで販売したとします。
その場合、帯地を購入し、再加工し、値段を付けて販売する行為は古物営業法という法規制にあたり、令和2年4月の法改正より、古物商免許が必要になりました。
そもそも、古物とは、
- 一度使用された物品
- 使用されていない物品で使用のために取引されたもの
- これからいずれかの物品に『幾分の手入れ』をしたもの
前述の帯地バッグの例に当てはめると、骨董市で帯地を販売している業者さんも、①もしくは②に該当するので、古物商許可証の申請が必要です。また、その帯地バッグを制作し、販売=取引しようとしている貴方も、②もしくは③に該当しますので、買う側・売る側として、古物商許可証が必要になってきます。
許可証が必要・不必要な例
許可が必要な場合
着物屋で着物・反物を購入し、縫い目をほどき、リメイク日傘として新たに値段を付けて販売した。
→許可が必要です。
許可が必要と思われるアイテム
ウ エ ア | リサイクル着物に限らず、古着も含んだ洋服(部分使いでも要免許) |
和小物雑貨 | ちりめん等を使用した和小物、木目込み人形 |
服飾雑貨 | リメイク日傘、ネクタイ、バッグ、帽子など |
許可が不必要な場合
お客さまから着物をお預かりし、加工することに同意を得て、日傘への加工賃として御代を頂戴しリメイク日傘を制作した。 →許可は不必要です。
ご両親などから、着物・反物を譲り受け、リメイク加工を施し、価格を付けて販売した。
→許可は不必要です。
許可証はどうやって取得するの?
古物商免許は、お住まいを所轄する警察署で手続きをしておりますので、ご不明な点や相談がある場合は、気軽にお問合せしてみて下さい。親切・丁寧にお教えくださいます。
法人の場合、書式も内容も下記とは異なりますので、法人格の方は、所轄の警察署にお問い合わせくださいませ。
申請場所 | 主たる営業所の所在地を管轄する警察署(防犯係) 警察署一覧 |
申請書類 | 許可申請書(古物営業法施行規則別記様式第1号) ↑警視庁参考資料 ※お住まいを所轄する都道府県 警察署のHPをご覧ください。 |
手数料 | ¥19,000 |
添付書類
- 略歴書(本人と営業所の管理者のものが必要)
根拠 古物営業法施行規則第1条の3第3項第1号イ - 本籍(外国人の方は国籍等)が記載された住民票の写し(本人と営業所の管理者のものが必要)
根拠 古物営業法施行規則第1条の3第3項第1号イ - 誓約書(本人と営業所の管理者のものが必要)
根拠 古物営業法施行規則第1条の3第3項第1号ロ、第3号ハ - 身分証明書(本人と営業所の管理者のものが必要)
根拠 古物営業法施行規則第1条の3第3項第1号ハ - URLの使用権限があることを疎明する資料(該当する営業形態のみ必要)
根拠 古物営業法施行規則第1条の3第3項第5号
まとめ
古物営業法と言う聞き慣れない言葉は、自分を取り巻く環境では全く無縁の法律かと思っている方も多くいらっしゃる事でしょう。かく言う、私も法改正されるまで、全く気にもしておりませんでした。
今回、あることがキッカケで、法律を学ぶ事になりましたが、良く々考えてみると、この免許を持つことによって、堂々とハンドメイドを楽しむことも出来、また、販売する際に、お客さまにも責任を以ってご案内出来、買う側であるお客さまにも安心感を与えられるモノになるのではないかと、思いました。
突然、免許が必要と言われ、難しく考える方も居られると思いますが、試験制度ではなく、申請制度ですし、更新制でもありませんので、一度取得してしまえば、半永久的に手続きなしで所持出来ますので、このタイミングで取得の検討をされてみるのは、いかがでしょうか。