父の庭先から「上様」と「大典」

窓を開けると隣家の屋根瓦の先に、雲一つない、真っ青な空が見える。
空に向かって、真っすぐに伸びる柿の葉の影に、大きくなった青い実が見える。

今日は4時半にTVの音で目が覚めた。
画面いっぱいに映った「上様」の涼やかで、優しい目に今朝も感動する。

いつごろからか、明け方に始まる「暴れん坊将軍」の吉宗役、松平 健に恋している。
天下の将軍が城を抜け出し、幕閣と江戸の町人とのトラブルを見事解決する勧善懲悪ものである。
ハンサムと言われる俳優、タレントは大勢いるが、「上様」の上を行く俳優はそんなにいないだろう。
目が良い!
あれほど整いすぎていると、飽きがきてしまいそうだが、慈愛に満ちた涼やかな目と、悪を許さない、怒りを秘めた強い目にまたまた感動してしまう。

父が死んでから、二つの大きな怒りを振り払うことができないでいた。
静かな夜は、急に突き上げる抑えようもない怒りに、悶々として朝を迎えることが度々あった。
そして出会った「上様」
露見した悪が、絶大な権力の前に、ひれ伏すあの爽快感。
多重債務者のレッテルを張られ、なお、いまだに世間を欺く人間を見事さばいてほしい願望が、「上様」を求めているのかもしれない。

私はテレビドラマに夢中になることはないが、NHKの正月ドラマ「若冲と大典」の画家
伊藤若冲が大成してゆくのに最大の貢献をした、京都相国寺の禅僧「大典顕常」役の永山瑛太に恋をしたこともあった。
禅寺の若葉燃ゆる緑の中で、僧都の黒い衣の袖が風になびく姿、一途に誠を求める目に恋してしまった。

話は「上様」に戻るが、徳川吉宗が31歳で8代将軍に就くと、家康から始まった徳川宗家が絶え、以後御三家の一つ、紀州徳川家が時代を治めてゆくようになる。
御三家と言えば家康の子供が初代藩主となり、御三卿は「上様の」子供が当主となり幕末まで時代を収めてゆく。
目的は、将軍職の跡目を絶えさせないためである。

のこされた吉宗の肖像画は、渋い政治家の面影。
あまりにも私が恋する「松平 健」と似ていない・・・

今日、朝早く目覚めた私の心は、いつもと違って穏やかだった。
終わったのだ。
今後、多重債務者がどのように再生するか、関心はない。
しかし! しかしだ。
私から騙し取った金銭で、展覧会を開くこと、ここだけは寛容にはなれない。
やはり、私の怒りはまだ収まらないのか・・・

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この記事を書いた人

6月生まれ
そのせいか、寒さより、暑さに強い
限界を超えた体重に苦慮して、昨年、カーブス入会
見た目より、感傷的で繊細(と自分では思っている)

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