父の庭先から『自然は公平』

気が付くと、父の庭先はすっかり新緑で覆われていた。
一つとして同じ緑はない。
初夏の眩しい日差しの中で、思い思いの衣装で輝いている。

植物の成長は早い。
椿はあれから20センチは背が伸びた。
梅に至っては30センチ以上も成長した。
葡萄は葉陰に小さな実をたくさん抱え込んでいる。

新型コロナで、多数の死者が出ている人の社会の喧騒をよそに、静かに、けれど猛烈な勢いで、夏に向かって加速している自然界の真ん中に私はいる。

トカゲも頻繁に庭を闊歩している。これは超小型の恐竜である。
たとえ、益虫だからといっても、とてもあの姿を好きになれない。
アリンコもせわしなく庭を行き来している。
玄関の梅の葉には、びっしりアブラムシが付いていた。
蜂がブンブン羽音をさせながら、低空飛行をしている
あれは、巣を作る場所を探しているのだから、かまってはいけない。
巣が北側にあれば、その年の台風は南風が荒れ、南にあれば強い北風が吹き荒れる。
そんなことを、父から教えられた。
夕闇の中、ヤモリがべったり物置の窓に張り付いていた。
すでに蚊が湧いている。

生き物すべてに公平な自然の姿。
父の庭先が穏やかなのは、あとどのくらいなのだろう。
もうすぐ、ネズミやハクビシンの来る季節が近づいてくる。

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この記事を書いた人

6月生まれ
そのせいか、寒さより、暑さに強い
限界を超えた体重に苦慮して、昨年、カーブス入会
見た目より、感傷的で繊細(と自分では思っている)

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