父の庭先から『雨音』

雨が降ってきたようだ。
新緑の葉に降りかかる雨音が、障子の向こうから静かに聞こえてくる。

こうして天の恵みを受けるたびに、父の庭先は少しづつ初夏に近づいてゆく。

春の雨がすべて優しいわけではない。
寒冷前線が、思わぬ強風と豪雨を取れてくる。

先日の強風とその雨は、咲き始めたばかりのイチハツの花を、地面にたたきつけた。
水たまりに倒れこんだ花は、もう立ち上がることができない。

水ついた紫色の花びらは、水辺に落ちたアゲハ蝶のように映った。

今日の雨はそれとはまったく違う。
はらはらと静かにおりてくる。

障子越しの薄明りの中で、何をするでもなく、雨音を聞いているのもたまには良いことのように思える。
屋根に落ちる雨音は、すべての音をかき消して、やがて私の眠気を誘う。

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この記事を書いた人

6月生まれ
そのせいか、寒さより、暑さに強い
限界を超えた体重に苦慮して、昨年、カーブス入会
見た目より、感傷的で繊細(と自分では思っている)

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