たっぷりと天の恵みを受けた庭は輝いている。
朝日を浴びた椿もボケも生き生きとして、開かんとする蕾の音さえも聞こえる気がする。
S夫人の庭先で、お茶を頂いた。
私はこの庭が大好きだ。
小さなガーデンテーブルの周りには、マーガレットや水仙。チューリップや色とりどりのパンジー。
彼女の庭は、一年中花であふれていて憧れている。
花の名前もよく知っていて、とっても素敵。
ここでいただくお茶やケーキの格別なこと。
中世の貴婦人たちは、こんなお茶を毎日楽しんでいたのだろうか。
汗ばむくらいの暖かい庭に、時々通り抜ける涼やかな風に時間を忘れてしまう。
比べて父の庭は、枝ものばかりで、あの華やかさはない。
梅も、桃も、ボケも、控えめに咲く。
そういえば、アケビの花も咲いているのだが、誰も気が付かない。