父の庭先から『春の雨』

春の雨は優しい。
ふわっと、余すところなくこの地におりてくる。

飽きず、庭を眺めているうちに、嫁ぐ前日の姉の姿を思い出した。
姉の結婚は半ば強引に進められた。
いつまでも嫁がない娘に、父は手を焼いていた。

姉はしとしとと降る雨の庭を、随分長いこと眺めていた。
寂しげにも、悲し気にも見えた姉の後ろ姿をみながら、ボタンに降りかかる春の優しい雨を私もながめていた。

あれから40数年、姉はたくましく、喧しいカーチャンになっていた。

春の雨は優しい。
草むしりの終わった黒い大地にゆっくり染みてゆく。

さあ! 明日が楽しみだ。
一気に新芽が、蕾が騒ぎ出すだろう。

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この記事を書いた人

6月生まれ
そのせいか、寒さより、暑さに強い
限界を超えた体重に苦慮して、昨年、カーブス入会
見た目より、感傷的で繊細(と自分では思っている)

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